デスクに置いた観葉植物の葉が黄色くなったり、ひょろっと間延びしたり。
「育て方が悪かったのかな」と落ち込む前に、まず見直したいのが置き場所です。
デスクには、植物のために気をつけたい点がいくつかあります。
窓から離れていたり、エアコンの風が当たったり、すぐそばに電源タップやケーブルがあったり。
人にとっては快適な作業場所でも、植物の目線で見ると、条件がそろっていないことがあるんです。
この記事では、デスクの観葉植物の置き場所と手入れの基本を、公的機関の資料、査読された研究論文、メーカーや販売店の資料をもとにまとめました。特定の商品の紹介はしていません。
最後に、置き場所を順番に確かめられる診断フローとチェックリストも付けています。
先にお断りしておくと、窓からの距離ごとの明るさや、植物ごとの耐寒温度・水やりの日数は、信頼できる一次資料が見つからなかったため、数字としては載せていません。
「確認できず」と書いたところは、お手持ちの植物の育て方表示や購入先の案内を優先してください。
まず知っておきたい、デスクの「明るさ」の話
オフィスの明るさには、法令の基準があります。厚生労働省によると、事務所で労働者が常に働く部屋の作業面は、一般的な事務作業で300ルクス以上、書類を細かく読む必要のない付随的な作業で150ルクス以上が求められます。
参考として挙げられているJIS Z 9110:2010の推奨照度では、事務室が750ルクス、キーボード操作や計算が500ルクスです。[1]
ただし、これは人の目が疲れないための基準です。
植物がどのくらいの光で育つかは、別の話になります。
早稲田大学の研究グループが、日光の入らない職場を想定した実験をしています。
ポトス、パキラ、ラフィドフォラの3種を育てたところ、白色LEDの光が6.8 μmol/m²/s(1日9時間)という弱い条件でも生育を維持しました。
光を20.1 μmol/m²/s、日長を18時間に増やすと、成長の速さが上がっています。[2]
| 何の基準・実験か | 数値 | 意味 |
|---|---|---|
| 事務所の作業面(一般的な事務作業)[1] | 300ルクス以上 | 人の目のための法令上の基準 |
| 事務所の作業面(付随的な事務作業)[1] | 150ルクス以上 | 同上 |
| JIS Z 9110:2010の推奨(事務室)[1] | 750ルクス | 人の目のための推奨照度 |
| JIS Z 9110:2010の推奨(キーボード操作・計算)[1] | 500ルクス | 同上 |
| 植物の実験(白色LED、1日9時間)[2] | 6.8 μmol/m²/s | ポトス・パキラ・ラフィドフォラが生育を維持 |
| 植物の実験(光を強め、1日18時間)[2] | 20.1 μmol/m²/s | 成長の速さが上がった |
ルクスとμmol/m²/sは単位が違うので、表の数字をそのまま比べることはできません。
ルクスへの換算は光源によって変わります。また、この実験は3種に限った実験室での結果です。
「照明さえあればどんな植物でも育つ」という意味ではなく、「耐陰性のある種類なら、強い光がなくても保てる可能性がある」くらいに受け止めてください。
もうひとつ、厚労省は、オフィス全体が明るくても、机上など実際に作業をする面が暗ければ、基準を満たしていない可能性があると注意しています。[1]
植物も同じで、部屋全体の明るさではなく、その鉢が置かれている面の明るさで考えるのがポイントです。
置き場所の基本は「光・風・温度」
光:
コメリの手入れ解説では、ほとんどの観葉植物は、室内の明るい場所かカーテン越しの窓際に置くとされています。真夏は直射日光の当たらない明るい日陰が目安です。[3]
無印良品の取扱説明も、レースのカーテン越し程度の明るさを勧めていて、強い光に当てると葉が茶色く焼けることがあると注意しています。[4]
なお、植物の種類によって好みは違います。たとえばシダ類は、湿度の高い場所が向くとされています。[3]
風:
エアコンの風が直接当たる場所を避ける、という点は、コメリ[3]も無印良品[4]も同じです。
三菱電機の資料(インドアグリーン専門店の代表のコメント付き)では、暖房の乾いた風が当たると、根から水を吸い上げるのが追いつかず、葉が乾燥して傷むおそれがあると説明されています。
対策は、鉢の位置か風向きを変えること。加湿器や霧吹きで葉の乾燥を防ぐ方法も紹介されています。[5]
温度:
空調のある事務所の室温は、努力目標として18度以上28度以下とされています。[1]
ただし、これは人が働くための目標で、植物の基準ではありません。
植物ごとの耐寒温度は、一次資料で確認できませんでした。
お手持ちの植物の育て方表示と、置き場所の夜間の温度(温度計で測れます)を見比べてください。
冬の置き場所は、室内の日中よく日に当たる場所が基本とされています。[3]

水やりは「日数」ではなく「土の乾き」で
水やりは、土の中まで乾くのを待ってから与えます。
毎日少しずつ与えると根の呼吸を妨げて、根腐れの原因になる、とコメリの解説にあります。
水やりのあとに受け皿へ水が溜まったら、必ず捨てるのも大切です。[3]
「何日おきに」と決めてしまいたくなりますが、季節や置き場所、鉢の大きさで乾き方は変わります。
日数で決めるより、鉢の土に指を第一関節くらいまで入れて、湿り気を確かめるほうが確実です。
植物ごとの水やり頻度は、数字で書ける一次資料が見つかりませんでした。
暖房を使う時期は、葉が乾燥しやすくなります。
三菱電機の資料では、加湿器で室内の湿度を整えたり、霧吹きで葉に水をかけたりして、葉の乾燥を防ぐ方法が紹介されています。[5]
霧吹きを使うときは、次の項目のとおり、電源タップやコンセントにしぶきがかからない場所で行いましょう。
水やりの水と、電源タップの関係
デスクの植物ならではの注意が、電源まわりです。製品評価技術基盤機構(NITE)は、電源プラグとコンセントのすき間に長い間にたまったほこりが、湿気を吸うと、プラグの刃の間に電流が流れ、炭化が進んで、やがて発火に至る「トラッキング現象」を説明しています。[6]
NITEが公開している水槽まわりの事故事例では、水滴や水槽からの飛沫でコンセントやプラグが濡れないようにすること、ほこりをこまめに掃除することが呼びかけられています。[7]
配線器具の火災事故を防ぐポイントとしても、電源タップやコンセントの接続部分に水分が付着しないよう注意することが挙げられています。[8]
観葉植物は水槽ではありませんが、水やりのときの水はね、受け皿からのあふれ、霧吹きのしぶきなど、水気が出る点は同じです。
鉢や受け皿、霧吹きは、電源タップやコンセントから離して置きましょう。机の上なら、タップを置いている側の反対側に鉢を置く、水やりのときは鉢を電源まわりから離れた場所へ動かして行う、といった工夫で、水はねの心配を減らせます。
タップの容量の確認方法は、デスク周りの電源容量チェッカーの記事にまとめています。
置き場所診断フロー
ここまでの内容を、順番に答えるだけの形にしました。上から順に「はい」「いいえ」で進めてみてください。
フローで扱うのは、資料で確認できた条件だけです。植物の種類ごとの違いは、育て方表示で補ってください。
① 直射日光が、長い時間当たっていますか?
はい → レースのカーテン越しになる位置に動かします。強い光で葉が茶色く焼けることがあります。[4]
いいえ → 次へ
② エアコンの風が、直接当たっていますか?
はい → 鉢の位置か、エアコンの風向きを変えます。[3][5]
いいえ → 次へ
③ 水がかかる距離に、電源タップやコンセントがありますか?
はい → 鉢・受け皿・霧吹きを、タップやコンセントから離します。[7][8]
いいえ → 次へ
④ 冬の夜の置き場所の温度は、温度計で測りましたか?
測っていない/足りない → 温度計で測り、植物の育て方表示にある耐寒温度と見比べます。足りなければ、部屋の内側へ移します。
問題なし → 次へ
⑤ 置き場所は、レースのカーテン越しの窓際ほど明るいですか?
いいえ → 窓に近い場所を探すか、耐陰性のある種類を選びます。実験では、ポトス・パキラ・ラフィドフォラの3種が弱い光でも生育を維持しました。[2]
はい → 次へ
ぜんぶクリア → いまの場所で様子を見ましょう。水やりは、土の中まで乾いてからです。[3]
手入れの見直しチェック表
葉の様子がおかしいときは、次の表で原因の候補を探してみてください。
ここに挙げたのは、資料で確認できた範囲の原因だけです。ほかの原因もありえます。
| 見られる様子 | 考えられる原因 | 見直すポイント |
|---|---|---|
| 葉が茶色く焼けたようになる | 強い光[4] | レースのカーテン越し程度の明るさに |
| 葉が乾いて傷む | 暖房の乾いた風[5] | 風が当たらない位置か、風向きの調整。加湿や霧吹きも |
| 土がいつも湿っていて元気がない | 水のやりすぎ(過湿・根腐れ)[3] | 土の中まで乾いてから与える。受け皿の水は捨てる |
チェックリスト:置く前・水やりの前に
- ☐ レースのカーテン越し程度の明るさの場所か[3][4]
- ☐ 直射日光が長時間当たっていない[4]
- ☐ エアコンの風が直接当たっていない[3][4]
- ☐ 冬の夜の置き場所の温度を、温度計で確かめた
- ☐ 水やりの前に、土の中まで乾いているか確かめた[3]
- ☐ 受け皿に溜まった水を捨てた[3]
- ☐ 鉢・受け皿・霧吹きが、電源タップやコンセントから離れている[7][8]
- ☐ タップやプラグの周りに、ほこりがたまっていない[6]
ペットや小さなお子さんがいるときは
植物の種類によっては、ペットや小さなお子さんが口にすると問題になるものがあります。
どの植物が該当するかは、一次資料で確認できていないため、ここでは種類を挙げません。
購入前に、植物の名前を動物病院や販売店に伝えて確認しておくと安心です。
迷ったときは
置き場所の条件は、デスクごとにまったく違います。
ポイントをまとめると、
①レースのカーテン越し程度の明るさ
②エアコンの風を避ける
③水を電源まわりから離す
の3つです。
この記事の内容はあくまで目安なので、お手持ちの植物の育て方表示や購入先の案内を、いちばん大切にしてください。
サイズや置き場所に合う植物を選びたいときは、デスクに置く観葉植物の選び方が参考になります。
雑貨や収納も含めてデスク周りを整えたい方は、デスク周りの選び方ガイドもどうぞ。
よくある質問
窓から離れたデスクでも、観葉植物は育てられますか?
日光の入らない職場を想定した実験では、ポトス・パキラ・ラフィドフォラの3種が、弱い白色LEDの光(1日9時間)でも生育を維持しました。[2]
ただし、この結果は3種に限った実験室でのものです。
窓からの距離ごとの明るさは、一次資料で数字を確認できませんでした。
お手持ちの植物の育て方表示も確認してください。
エアコンの風が当たる机に置いても大丈夫ですか?
エアコンの風が直接当たる場所は避けるのが基本です。[3][4]
暖房の乾いた風が当たると、葉が乾燥して傷むおそれがあると説明されています。[5]
鉢の位置か、エアコンの風向きを変えてみてください。
水やりは何日おきにすればいいですか?
日数ではなく、土の乾き具合で決めるのが基本です。土の中まで乾いてから与えます。[3]
毎日少しずつ与えると、根の呼吸を妨げて根腐れの原因になります。[3]
植物ごとの水やり頻度は、数字で書ける一次資料を確認できませんでした。
受け皿の水や霧吹きの水は、電源タップのそばで使っても大丈夫ですか?
電源タップやコンセントの接続部分に水分が付着しないよう、NITEが注意を呼びかけています。[8]
ほこりがたまったところに湿気が加わると、トラッキング現象が起きるおそれがあります。[6]
鉢・受け皿・霧吹きは、タップやコンセントから離して置いてください。
冬は窓際に置いてもいいですか?
冬の置き場所は、室内の日中よく日に当たる場所が基本とされています。[3]
夜間の窓際がどのくらい冷えるかは環境によって違います。温度計で測って、植物の育て方表示にある耐寒温度と見比べてください。
植物ごとの耐寒温度は、一次資料を確認できませんでした。
追加の照明(植物用ライトなど)は必要ですか?
耐陰性のある3種の実験では、弱い光でも生育を維持しました。[2]
光を強め、日長を18時間に伸ばすと、成長の速さが上がったとも報告されています。[2]
必要かどうかは植物の種類と置き場所によります。まずは置き場所の見直しから試してみてください。
ペットや小さな子どもがいる家庭で気をつけることは?
植物の種類によっては、口にすると問題になるものがあります。
どの植物が該当するかは、一次資料を確認できなかったため、この記事では挙げていません。
購入前に植物の名前を動物病院や販売店に伝えて、確認してください。
参考資料
- 厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「職場における労働衛生基準の改正(事務所衛生基準規則等)」https://jsite.mhlw.go.jp/fukuoka-roudoukyoku/content/contents/001540662.pdf
- Sugano, S., Ishii, M., Tanabe, S.(2024)“Adaptation of indoor ornamental plants to various lighting levels in growth chambers simulating workplace environments.” Scientific Reports 14, 17424.https://www.nature.com/articles/s41598-024-67877-y
- コメリ「観葉植物の管理方法」https://www.komeri.com/contents/howto/html/03030_a.html
- 無印良品「アクアポット 4号 底面給水タイプ・バレル鉢(観葉植物共通)」管理方法https://www.muji.com/public/media/jp/doc/item/01_0280001004705_1411aquapot4barrelgreen.pdf
- 三菱電機「霧ヶ峰 教えて!エアコン暖房と観葉植物」(インドアグリーン専門店の代表のコメント付き)https://www.MitsubishiElectric.co.jp/home/kirigamine/special/oshiete/pdf/230228.pdf
- 製品評価技術基盤機構(NITE)「トラッキング現象」https://www.nite.go.jp/data/000004222.pdf
- 製品評価技術基盤機構(NITE)「テーブルタップからの発火事故」https://www.nite.go.jp/data/000004226.pdf
- 製品評価技術基盤機構(NITE)「配線器具の火災事故を防ぐポイント」https://www.nite.go.jp/data/000104016.pdf


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