中古のオフィスチェアで見るべき12か所。ガスシリンダーから座面まで、状態チェックリスト

中古のオフィスチェアは、新品の半額以下で見つかることもあります。でも写真だけでは、「ちゃんと座れる椅子」なのか「座った瞬間にスーッと沈む椅子」なのか、なかなか見分けがつきません。

そこでこの記事では、買う前にチェックしたい12か所を、「確認のしかた」「見送りの目安」「直しやすさ」の3点セットで表にまとめました。あわせて、オカムラ・コクヨ・ハーマンミラーが公表している保証の考え方も比べています。

ポイントは、傷みを「あとから直せるもの」と「直せないもの」に分けて見ること。これだけで、中古チェア選びはぐっとラクになります。なお、この記事は特定の商品や店をすすめるものではありません。修理費用の相場など、公的な情報が確認できなかった点は「確認できず」と書いています。

まず結論:見るのは「直せる所」と「直せない所」

中古チェアの傷みは、大きく2つに分かれます。

ひとつは、交換すれば元に戻せる所です。キャスターや肘パッドは、オカムラの取扱説明書で保証対象外の消耗品として挙げられています[1]。ガスシリンダーも、交換用の汎用品が市販されています[2]。ただし、どの椅子にも合うわけではありません。この点は後でくわしく見ます。

もうひとつは、直せない、または直すのが大変な所です。脚(ベース)のひび、背もたれを倒す機構(ロッキング機構)のへたり、背フレームの変形などがこちらです。個人での交換は難しく、メーカーに頼む場合も、部品が出るかどうかは製品しだいです。ここが傷んでいる個体は、安くても見送るのが無難です。

この「直せる・直せない」の考え方が、このあと出てくる12項目チェックリストの土台になります。

中古チェアにメーカー保証は使える?3社の公表内容を比べる

結論から言うと、使えないものと考えておくのが安全です。オカムラ、コクヨ、ハーマンミラーの3社が公表している内容を、表にまとめました。

メーカー 中古・譲渡品の扱い そのほか確認できた点
オカムラ 保証期間内でも、中古品・譲渡品・個人売買品の故障や破損は有料[1] キャスター・肘パッドなどは消耗品として保証対象外。修理用部品の保有は製造中止後5年間。保証期間後の点検・修理は、所有者に実施責任があると明記[1]
コクヨ
(コクヨファニチャー)
保証期間内でも、第三者から転売・譲渡を受けた場合は有料[3] 指定の消耗部品の交換は有料[3]。補修部品の保有期間は、確認した説明書の抜粋では確認できず
ハーマンミラー 保証の対象は、正規代理店などから新品を購入した最初の購入者のみ[5] 多くの製品に、部品と作業代を含む12年保証[4]。キャスターやガス圧シリンダーも対象部品だが、通常損耗による不具合は対象外[5]。補修部品の保有期間は確認できず

3社に共通しているのは、保証が「新品を買った人」のためのものだという点です。中古で買ったときの安心は、メーカーではなく、売る側(店や出品者)がつける保証や返品の条件で決まります。

もうひとつ見逃せないのが部品の話です。オカムラは、修理用部品の保有を製造中止後5年間としています[1]。製造終了から年数がたった個体は、直したくなったときに部品が出ない可能性があります。キャスターの扱いも、オカムラは消耗品、ハーマンミラーは保証対象の部品と、会社によって違います[1][5]。

ここで見たのは、各社の取扱説明書や保証書の一部です。製品や年式で条件が違うことがあるので、気になる型番は、その説明書を必ず確認してください。

製造年を見る:「回転椅子8年」という目安の意味

中古チェアで最初に確認したいのは、いつ作られたかです。目安になるのが、日本オフィス家具協会(JOIFA)が決めている「JOIFA標準使用期間」です。

これは、製造年から数えて、経年劣化が安全な使用に影響しにくいと考えられる期間のことです。オカムラの2015年発行カタログの表では、回転椅子は8年と示されています[6]。ただし、この期間は耐用年数でも保証期間でもありません。過ぎたからといってすぐ事故につながるわけではなく、注意して使い、点検を頼むようにという位置づけです。また、期間内でも異常を感じたら使用を中止するよう案内されています[7]。

つまり「8年を過ぎた椅子はダメ」ではなく、「8年を過ぎていたら、状態をいつもより厳しく見る」という使い方が合っています。なお、この年数は2015年のカタログ記載です。最新の区分は、日本オフィス家具協会の案内で確認してください。

製造年は、製品に貼られたラベルで確認できる場合があります。オカムラの取扱説明書には、製品番号などを記したJOIFAラベルが貼ってあると書かれています[8]。ただ、貼られている位置や年の読み方は製品ごとに違います。わからなければ、ラベルの写真を売り手に頼むのが確実です。

ちなみに、オフィス用回転椅子には、安定性・強度・耐久性の試験方法を定めたJIS S 1206や、座面高さ調節式回転椅子を扱うJIS S 1043があります[9][10]。ただしこれらは新品の製品に対する規格で、使い込まれた個体の今の状態を保証するものではありません。

【自作】中古チェア状態チェックリスト12項目

店頭なら全部、写真や説明文だけで選ぶ場合は「写真で」が◯の項目から確認し、残りは売り手への質問で補います。◯は写真で判断しやすい、△は近くで撮った写真や動画があれば判断できる、×は実際に座って確かめたい項目です。

チェック箇所 確認のしかた 見送りの目安 直しやすさ(目安) 写真で
1. 製造年・ラベル 座面の裏やフレームにあるラベルを探し、製造年と型番を控える ラベルがない・読めない。標準使用期間(8年)を大きく超えている 直す対象ではない △
2. 昇降(ガスシリンダー) 座面を上げて腰かけ、レバーに触れず、足を浮かせて30秒ほど待つ※ じわじわ沈む。上がらない。レバーを引いても動かない 交換品はあるが、適合の確認が必要[2][11] ×
3. シリンダーまわり 座面を持ってゆすり、ぐらつきや、カバーの割れを見る 大きなガタつき。カバーの割れや欠け 製品しだい(確認が必要) △
4. ロッキング機構 もたれて倒し、戻り方を見る。ロック位置で固定できるか、テンション調整ノブを回して手応えが変わるかも確かめる 戻らない。ロックが効かない。ノブが空回りする 難しい(部品が出るかは製品しだい) ×
5. 脚(ベース) 脚の根元と先端を目で見る。ひび、白っぽい変色、曲がりを探す ひび・割れ・曲がり 難しい ◯
6. キャスター 5個すべてを回し、ガタつき、すり減り、割れを見る 割れ・欠け。1個でも回らない(交換前提で価格を見直す) 比較的やさしい。消耗品として扱うメーカーもある[1] △
7. 座面 手で押して沈み具合を見る。前の縁の凹み、表面のひび割れやべたつきも見る 押すと底に当たる感じがある。破れ・裂け 張り替えは業者に依頼(対応可否は確認が必要) ◯
8. 背もたれの張り地(メッシュ・布) たるみ、ほつれ、縫い目の開き、破れを見る 破れ。目で見てわかるたるみ 製品しだい(確認が必要) ◯
9. 背フレーム・腰当て 背を軽くゆすってガタを見る。左右のゆがみ、腰当て(ランバー)が動くかも確かめる フレームの変形・ひび。腰当てが動かない 難しい △
10. 肘(アームレスト) 肘をのせてぐらつきを見る。高さや角度が固定できるか、パッドの擦り切れも確かめる 固定できない。付け根のぐらつき パッドは消耗品として扱うメーカーもある[1]。本体は難しい ◯
11. ネジ・ボルト 座面・背・肘の付け根の緩み、サビ、動かしたときの異音を確認する 欠品。サビで固着している 締め直しで直る場合もある △
12. 調整レバー・付属品 すべてのレバーを動かす。ヘッドレストなどの欠品がないか確認する レバーが効かない。調整に必要な部品の欠品 部品が出るか、メーカーに型番を伝えて確認 ◯

※30秒は当サイトが設定した目安で、規格に定められた数値ではありません。また、「直しやすさ」は一般的な目安です。修理費用の統一的な相場は、公的な資料では確認できませんでした。実際の費用は、メーカーや修理店に型番を伝えて、見積もりを取ってください。

ガスシリンダーだけは、別枠でしっかり見る

ガスシリンダーは、座面の高さを支える部品です。ここが弱ると、座っているうちにスーッと下がってきて、机との高さが合わなくなります。作業中に何度も座り直すことになるので、中古チェアでいちばん気にしたい部品のひとつです。

見るときは、まず座面を上げてから腰かけ、レバーに触れずにしばらく待ちます。じわじわ沈むなら、交換が必要なサインです。商品説明に「ガス圧弱め」「昇降不可」などの記載があれば、読み飛ばさず、価格にも織り込んで考えましょう。

交換用のガスシリンダーは市販されています。たとえばサンワサプライは2024年、交換用の「SNC-CYL5」を発表し、想定売価は税込6,050円でした[2][11]。ただし、対応は「SNC-NET14A」シリーズなど脚部の高いモデルとされ、本体サイズも幅50×奥行50×高さ235mmと決まっています[11]。価格は発表時のものなので、今は変わっている可能性があります。

つまり、汎用品があっても、買った椅子にそのまま付くとは限りません。「悪ければ交換すればいい」と考えて買うより、最初から正常な個体を選ぶほうが安全です。

メーカー保証も頼れません。ハーマンミラーの保証はガス圧シリンダーも対象部品に含みますが、対象は新品を購入した最初の購入者だけです[5]。

ガスシリンダーの事故件数などの統計は、今回確認できた資料の中には見つかりませんでした。ただ、標準使用期間を過ぎた個体は、点検を前提に使うよう案内されています[7]。ぐらつきやきしみなど、少しでも不安を感じたら、そのチェアは見送りましょう。

買う場所で変わる確認ポイント

リユースショップ・オフィス家具の専門店

中古品を売買することを営業とする場合は、古物営業法にもとづく許可が必要です[12]。申請先は、営業所を管轄する警察署です[13]。許可を受けた古物商は、許可をした公安委員会名と許可番号を記した標識を掲げます[14]。店で買うなら、まず許可の表示があるかを見ておくと安心です。

そのうえで、保証の期間と範囲(ガスシリンダーやキャスターが入るか)、返品できるか、状態ランクの基準を、購入前に確認しましょう。メーカー保証が使えない以上、ここが中古チェアの「保険」になります。

フリマアプリ・個人間取引

個人間では、状態の説明がどこまで正確かが、そのまま品質になります。次の質問テンプレートで、ラベル・動作・欠品をひと通り確認してから決めるのがおすすめです。返品や返金の扱いは、出品ページの記載とアプリのルールで決まるので、購入前に必ず読んでください。

【自作】店・出品者に聞く質問テンプレート

そのままコピーして使える形にしました。写真だけで判断するときほど頼りになります。

購入前に聞く8つの質問

  1. 製造年がわかるラベルの写真を、見せてもらえますか?
  2. 座面を上げて座り、レバーに触れずに放置しても沈みませんか? 動作確認の動画はありますか?
  3. 背もたれを倒す機構(ロッキング)は、戻り方やロックに問題ありませんか?
  4. 脚(ベース)や背フレームに、ひび・割れ・曲がりはありませんか?
  5. キャスターは5個すべてスムーズに回りますか? 欠けや割れはありませんか?
  6. 座面と背もたれのへたり・破れ・たるみを、近くから撮った写真で見せてもらえますか?
  7. 肘、レバー、ヘッドレストなどに、欠品や固定できない部分はありますか?
  8. 購入後に不具合が見つかった場合、保証や返品・返金の対応はありますか? 対象になる部品はどこまでですか?

写真や動画を出してもらえない、答えがあいまいといった場合は、慎重に考えましょう。

【自作】判定表:買う・条件付き・見送り

判定 当てはまる状態 考え方
見送り 脚や背フレームのひび・変形。ロッキングが戻らない。製造年が不明で、売り手にも確認できない。動作確認ができず、返品もできない 直しにくい所が傷んでいる個体や、状態を確認できない個体は、安くても避ける
条件付き キャスターの不具合。肘パッドの擦り切れ。座面の軽いへたり。ガスシリンダーの不調(適合する交換品が確認できる場合のみ) 交換費用を足した合計で判断する。見積もりが取れないなら見送る
買ってよい ラベルで製造年が確認できる。昇降とロッキングが正常。脚やフレームにひびがない。売り手の保証や返品条件がある 標準使用期間(8年)を超えていても、点検結果が良ければ検討できる[7]

まとめ

中古のオフィスチェア選びは、次の3点に絞れます。

  • 「直せる所」より、「直せない所」を優先して見る
  • メーカー保証は使えない前提で、売り手の保証と返品条件を確認する
  • ガスシリンダーは、座って沈まないかを必ず確かめる

新品も含めて椅子選びを一から考えたい方は、在宅ワーク向けオフィスチェアの選び方もあわせてどうぞ。机側の高さや天板が気になる場合は昇降デスクの天板素材ガイド、デスクまわりをまとめて整えたいときはDESKカテゴリの選び方ガイドが役立ちます。

よくある質問

Q
中古のオフィスチェアで、メーカー保証は使えますか?
A
確認できた範囲では、使えないと考えておくのが安全です。
オカムラは中古品・譲渡品・個人売買品の故障を保証期間内でも有料としています[1]。
コクヨは第三者から転売・譲渡を受けた場合を有料とし[3]、ハーマンミラーは新品を購入した最初の購入者のみを対象にしています[5]。
ただし条件は製品ごとに違うため、型番の取扱説明書で確認してください。
Q
ガスシリンダーは自分で交換できますか?
A
交換用の汎用品は市販されています。
たとえばサンワサプライの「SNC-CYL5」は、発表時の想定売価が税込6,050円でした[2]。
ただし対応モデルが限られるため、お使いの椅子に合うかどうかは、購入前に必ず確認してください[11]。
Q
何年前に作られたチェアまでなら、買ってもいいですか?
A
一律の基準は、今回確認できた資料では見つかりませんでした。
目安として、JOIFA標準使用期間は回転椅子で8年と示されています[6]。
ただしこれは耐用年数や保証期間ではありません[7]。
製造年、状態、売り手の保証を合わせて判断しましょう。
Q
製造年はどこで確認できますか?
A
製品に貼られたラベルで確認できる場合があります。
オカムラの取扱説明書には、製品番号などを記したJOIFAラベルが貼ってあると書かれています[8]。
貼られている位置や年の読み方は製品ごとに違うため、わからないときは売り手にラベルの写真を頼みましょう。
Q
フリマアプリで中古チェアを買っても大丈夫ですか?
A
買ってはいけない、ということはありません。
ただし、メーカー保証は使えない前提で、ラベルの写真、昇降の動作確認、欠品の有無、返品や返金の条件を購入前に確認してください。
本文の質問テンプレートと判定表が使えます。

参考資料

  1. オカムラ「取扱説明書(保証の明細、修理用部品の保有期間)」2018年7月版 https://interior.okamura.co.jp/download/dl_medias/8SCRWC.pdf
  2. サンワサプライ「OAチェア用シリンダー SNC-CYL5」発表(2024年7月4日、日刊工業新聞プレスリリース) https://www.nikkan.co.jp/releases/view/176532
  3. コクヨファニチャー「取扱説明書(stock stack)無料修理規定」 https://www.kokuyo-furniture.co.jp/manual/pdf/stock_stack.pdf
  4. Herman Miller「保証とサービス」 https://www.hermanmiller.com/ja_jp/customer-service/warranty-and-service/
  5. Herman Miller「国際製品保証」(2023年9月発効) https://www.hermanmiller.com/content/dam/hermanmiller/documents/policies_legal/apac/hm_warranty_international_ja-jp.pdf
  6. オカムラ「linkage」カタログ(2015年10月発行、JOIFA標準使用期間の表) https://www.okamura.co.jp/catalog/pdf/linkage_Ja_201510_YOCM46-5N1.pdf
  7. 日本オフィス家具協会(JOIFA)「JOIFA標準使用期間」の案内(ナイキ株式会社カタログ掲載) https://naiki.co.jp/websolution/pdf2023/pdf/21.pdf
  8. オカムラ「取扱説明書(製品番号とJOIFAラベル)」 https://interior.okamura.co.jp/download/dl_medias/8VSBZZ.pdf
  9. JIS S 1206:2013「オフィス用回転椅子-安定性,強度及び耐久性の試験方法」(日本規格協会) https://webdesk.jsa.or.jp/preview/pre_jis_s_01206_000_000_2013_j_ed10_ch.pdf
  10. JIS S 1043:2016「オフィス家具-座面高さ調節式回転椅子」(日本規格協会) https://webdesk.jsa.or.jp/preview/pre_jis_s_01043_000_000_2016_j_ed10_ch.pdf
  11. サンワサプライ「交換用ガスシリンダー SNC-CYL5」対応モデル・サイズ(GDM) https://www.gdm.or.jp/pressrelease/2024/0704/545825
  12. 衆議院「古物営業法」(法律第百八号) https://www.shugiin.go.jp/Internet/itdb_housei.nsf/html/houritsu/00519490528108.htm
  13. 警視庁「古物商許可申請」 https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/kobutsu/tetsuzuki/kyoka.html
  14. 静岡県警察本部「『古物商許可証』を受け取ったら…古物商がやらなくてはいけないこと」 https://www.pref.shizuoka.jp/police/_res/projects/project_police/_page_/002/000/638/kobutu07107-1.pdf

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