スチールラックの耐荷重は棚板ごとに読む|3社比較と地震の転倒対策

スチールラックは、棚板の高さを変えられて、収納量も多い便利な家具です。
その一方で、「耐荷重300kg」と書いてあっても、本当にそこまで載せていいのか、地震のときに倒れないのかと、不安になりませんか。

この記事では、耐荷重の2つの数字(棚板1枚あたりと全体)の読み方を、メーカー各社の説明をもとに整理しました。
あわせて、東京消防庁のハンドブックから、置き方の基本と転倒防止器具の選び方をまとめています。
棚板ごとの荷重チェック表と、設置のチェックリストも用意しました。

なお、特定の商品や店はすすめません。また、固定方法や耐荷重は商品ごとに異なります。
この記事は一般的な考え方の整理で、お使いの商品の取扱説明書やメーカーの案内が最優先です。

まず結論:数字は「2つ」を「均等に」読み、地震対策は「固定」と「置き方」

結論は2つです。
ひとつ目は、耐荷重を「棚板1枚あたり」と「全体」の2つで見て、どちらも均等に載せた場合の数字だと理解すること。
ふたつ目は、地震対策を「固定」と「置き方」の両方で行うことです。
重い物は下段に置き、壁にネジで固定するのが基本です[1]。

もうひとつ大切なのが、数字を使い切らないことです。
無印良品の案内でも、耐荷重に対して余裕を持たせるよう説明されています[2]。

耐荷重の読み方:2つの数字と「均等」の意味

「棚板1枚あたり」と「全体」を両方見る

アイリスオーヤマのメタルラック高耐荷重モデルは、「全体500kg、棚板1枚あたり300kg」と、2つの数字を並べて示しています[3]。棚板が2枚あれば、300kg×2枚で600kgとなり、全体の500kgを超えます。
つまり、棚板ごとに耐荷重以内でも、合計が全体の耐荷重を超えることがあります。必ず両方を確認してください。

耐荷重は「均等に載せた場合」の数字

ミクニヤは、1段あたりの耐荷重を、棚板1枚に収納物を均等に置いた場合のものと説明しています[4]。無印良品も、棚全体に均等に荷重がかかったときに耐えられる重さとしています[2]。

一か所に重さが集中すると、棚板の反りや変形の原因になります[2][4]。
ミクニヤの説明では、耐荷重は棚板全面の3分の2を超えて均等に載せた場合の数字で、3分の2に満たない面積しか使わないときは、半分ほどを目安にするとされています[4]。
小さくて重い物を一点に置くのは、数字上は軽くても避けたい置き方です。

数字いっぱいまで載せない

無印良品は、耐荷重30kgの棚板に30kgの物を置いた場合、少し落としただけでも瞬間的に30kgを超える力が加わり、破損のおそれがあると説明しています。
また、すべての棚に最大の荷重を載せると、棚の剛性が弱くなり、変形しやすくなるとも書かれています[2]。

耐荷重の説明を3社で比べる

アイリスオーヤマ、無印良品、ミクニヤの3社が、耐荷重をどう示しているかを表にまとめました。

見る点 アイリスオーヤマ 無印良品 ミクニヤ
数字の示し方 「全体」と「棚板1枚あたり」の2つを併記[3] 「棚板1枚の耐荷重」を例に説明[2] 「kg/段」(棚板1枚あたり)で示し、「総耐荷重/台」も別に表記[4]
条件の説明 確認した商品ページには、荷重のかけ方の説明は見つからず[3] 棚全体に均等に荷重がかかったときの数字[2] 均等に置いた場合の数字。棚板全面の3分の2超が前提で、満たない場合は半分ほどが目安[4]
注意の書き方 確認できず 一か所に集中すると反り・変形。上が重いと転倒の原因。余裕を持たせ、全段に最大荷重を載せない[2] 真ん中だけ、右だけが重いのは、棚板のゆがみの原因[4]

無印良品の説明は収納家具全般、ミクニヤは業務用スチールラックについてのものです。
商品の種類によって数字の水準は違いますが、「均等に載せた場合の数字で、余裕を持って使う」という読み方は共通しています。

一方、アイリスオーヤマの商品ページでは、条件の説明は確認できませんでした。
数字だけで判断せず、商品に付いている取扱説明書の注意書きを読んでください。

【自作】棚板ごとの荷重チェック表

載せる物の重さを、棚板ごとに書き出して確かめる表です。
印刷するか、メモ帳に写して使ってください。

段(上から) 載せる物と重さのメモ 合計(kg) 棚板の耐荷重(kg) 判定
1段目        
2段目        
3段目        
4段目        
5段目        
全体 全段の合計   全体の耐荷重:   

使い方は次のとおりです。

  1. 載せる物を段ごとに書き出し、はかりで重さを測ってメモする
  2. 段ごとの合計を出し、棚板1枚あたりの耐荷重と比べる
  3. 全段の合計を、全体の耐荷重と比べる
  4. 重い物が上の段に来ていたら、下の段と入れ替える

判定の目安は、耐荷重の7割以内なら「○」、7割を超えて10割までなら「△」、超えていれば「×」としました。この7割は当サイトの目安で、公的な基準ではありません。

たとえば、耐荷重100kgの棚板に合計60kgを載せるなら、60÷100で6割なので「○」です。
合計90kgなら9割で「△」になり、上の段と下の段で重さを分け直す余地があります。
ここで挙げた数値は計算の例で、実際の重さは物によって違います。

置き方の基本:重い物は下、通路と窓際は避ける

東京消防庁のハンドブックは、重い物を下に置くと家具の重心が下がり、転倒しにくくなると説明しています[1]。
軽い物を上、重い物を下という順番は、耐荷重の面でも地震の面でも共通です。

置く場所にも注意が必要です。
同じハンドブックでは、避難通路や出入口の周辺に、転倒や移動しやすい家具を置かないよう勧めています。
窓際には、外に落下するおそれがあるため、重い物や倒れやすい物を置かないようにとされています[1]。
寝る場所や座る場所の近くも、なるべく避けましょう[1]。

地震で何が起きるか:転倒・落下・移動

東京消防庁の近年の地震被害調査では、負傷者の3〜5割が、屋内の家具類の転倒・落下によってけがをしたと報告されています[1]。
倒れるだけでなく、中の物が落ちる、家具が動くといった被害も起きます。

「移動」は、高い階ほど起きやすい傾向があります。
東日本大震災後の東京都内のアンケートでは、家具類の転倒・落下・移動が起きた割合が、1〜2階で16.8%、11階以上で47.2%でした[1]。キャスター付きの家具は、特に動きやすいとされています[1]。

キャスター付きのスチールラックは、日常的に動かすかどうかで対策が変わります。
動かさないときは、必ずキャスターをロックします。
日常的に動かさないなら、キャスターの下に置く下皿を使い、転倒防止対策を併用します。
日常的に動かす場合は、壁に着脱式のベルトでつなぐ方法があります[1]。

転倒防止器具の比べ方:L型金具・ポール式・ストッパー式

東京消防庁は、震度6強の揺れを再現した実験で、転倒防止器具の効果を測っています[1]。
その結果をもとに、代表的な3種類を比べました。

器具 仕組み ハンドブックでの位置づけ 注意点
L型金具 家具と壁を、木ネジやボルトでネジ止めする 最も効果が高いとされる。家庭用家具では「効果が高い」の評価[1] 壁に強度が必要。壁の下地材(柱・間柱など)に固定する[1]
ポール式(つっぱり棒式) ネジ止めせず、家具と天井の間に棒を突っ張る 家庭用家具では「効果がある」の評価。オフィス家具は「条件によっては効果的でない」とされ、家具の強度が不足して適合しないものが多い[1] 天井に強度が必要。奥行きのない家具や、天井との間隔が大きい場合は不向き。ストッパー式やマット式との併用で効果が高まる[1]
ストッパー式・マット式 家具の前下部にくさび状の器具を挟む、または粘着マットで床に貼る 「効果がある」の評価。ただし単独使用は効果が小さい[1] 大きな家具には、一般に単独では適さない[1]

ポイントは、ネジで固定するL型金具が最も効果が高いこと、壁に穴をあけられない場合は、ポール式とストッパー式やマット式を併用すると効果が高まることです[1]。
賃貸で壁に固定できるかどうかは、管理会社や大家さんに確認してください。

スチールラックには、上部に天板のない構造のものや、家庭用とオフィス用の違いもあります。
ポール式が使えるかどうかは、ラックの構造によって変わります。商品の取扱説明書や、販売元の案内で確認しましょう。
ミクニヤのように、転倒防止用の金具や落下防止用の部品を、オプションとして用意している販売元もあります[4]。

オフィス向けの書架や物品棚については、ハンドブックが、床・壁・天井と必ず固定すること、上部を連結材でつなぐこと、落下防止材を取り付けること、筋交い(ブレース)で補強することを挙げています[1]。
扉のない開放棚の中身が落ちるのを防ぐ器具としては、バータイプ、ベルトタイプ、シートタイプなどが紹介されています[1]。

【自作】設置チェックリスト

設置したあとに、ひとつずつ確認してください。
ネジで固定する場合は、壁の下地を探すセンサーや、音で調べる方法があります[1]。

スチールラックの設置チェック9項目

  1. 棚板ごとの荷重の合計が、耐荷重の範囲内に収まっているか(余裕を持たせているか)
  2. 全段の合計が、全体の耐荷重を超えていないか
  3. 重い物は下の段、軽い物は上の段に置いているか[1]
  4. 壁に固定する場合、ネジを壁の下地材(柱や間柱)に留めているか[1]
  5. ポール式を使う場合、天井に強度があるか。ストッパー式やマット式と併用しているか[1]
  6. キャスター付きの場合、使わないときはロックしているか。動かさないなら下皿を使っているか[1]
  7. 出入口、避難通路、窓際、寝る場所の近くに置いていないか[1]
  8. 扉のない棚で、物が落ちない対策をしているか(落下防止バーやベルトなど)[1]
  9. 取扱説明書の固定方法と耐荷重の注意を、読み直したか。賃貸は、固定の可否を管理会社に確認したか

東京消防庁は、対策が必要な家具の高さや重さに、決まった基準はないとしています。
すべての家具に対策をするのが最も安全ですが、難しければ、重量や高さのある家具を優先して、できるものから順に進めるよう案内しています[1]。

なお、このハンドブックは平成27年度版です。
最新の内容は、東京消防庁の公式サイトで確認してください。

まとめ

スチールラックの耐荷重と地震対策は、次の3点に絞れます。

  • 耐荷重は「棚板1枚」と「全体」の両方を見て、均等に載せる前提で余裕を持つ
  • 重い物は下の段に置き、通路・出入口・窓際を避ける
  • 転倒防止は、壁にネジで固定するL型金具が最も効果が高い。固定できないときは、ポール式とストッパー式・マット式を併用する

部屋まわりの収納や飾り方をまとめて見直したい方は、インテリア・デコのガイドもあわせてどうぞ。棚に観葉植物を置くときの置き場所や管理は、デスクの観葉植物の置き場所とお手入れで解説しています。デスクまわり全体の整え方は、DESKカテゴリの選び方ガイドが参考になります。

見た目も含めてラックを選び直したい場合は、在宅ワークになじむ「ルミナスノワール」の選び方を別の記事で整理しています。

よくある質問

Q
耐荷重は、棚板1枚と全体のどちらを見ればいいですか?
A
両方を確認してください。
アイリスオーヤマのメタルラック高耐荷重モデルは、全体500kg、棚板1枚あたり300kgと、2つの数字を示しています[3]。
棚板ごとに耐荷重以内でも、合計が全体の耐荷重を超えることがあります。
Q
耐荷重いっぱいまで載せても大丈夫ですか?
A
余裕を持たせることをおすすめします。
無印良品は、耐荷重ぎりぎりでは、落としたときなどに破損のおそれがあると説明しています[2]。
すべての棚に最大の荷重を載せると、棚の剛性が弱くなる点にも注意が必要です[2]。
Q
スチールラックにも転倒防止は必要ですか?
A
東京消防庁は、対策が必要な家具の高さや重さに決まった基準はないとしています[1]。
すべての家具に対策をするのが最も安全で、難しければ、重量や高さのあるものから順に進めるよう案内しています[1]。
オフィス向けの書架や物品棚では、床・壁・天井との固定が挙げられています[1]。
Q
賃貸で壁に穴をあけられないときは、どうすればいいですか?
A
東京消防庁のハンドブックでは、ポール式を使う場合に、ストッパー式やマット式を併用して、家具の上下に対策を取るよう案内されています[1]。
ストッパー式やマット式の単独使用は、効果が小さいとされています[1]。
壁への固定が可能かどうかは、管理会社や大家さんに確認してください。
Q
キャスター付きのスチールラックは、地震で動きますか?
A
キャスター付きの家具は、特に動きやすいとされています[1]。
動かさないときはキャスターをロックしてください。
日常的に動かさない場合は、下皿を使い、転倒防止の対策も併用します[1]。

参考資料

  1. 東京消防庁「家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック―室内の地震対策―」平成27年度版(新宿区ウェブサイト掲載のPDF) https://www.city.shinjuku.lg.jp/content/000254817.pdf
  2. 無印良品「収納家具の耐荷重の考え方」(よくある質問) https://faq.muji.com/(収納家具の耐荷重の考え方)
  3. アイリスオーヤマ「メタルラック 高耐荷重モデル」商品情報(2026年10月確認) https://www.irisohyama.co.jp/products/storage-furniture/metal-rack-fai25mm/metal-rack-set/power-metal-rack
  4. ミクニヤ「スチールラックの1段あたりの耐荷重とは」(2020年1月30日、2026年10月確認) https://mikuni-ya.com/column/5332/

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