デスクライトの箱やスペック表には、lm、lx、K、Raと、似たような記号がずらっと並んでいます。「結局どれを見ればいいの?」と、手が止まってしまうこともありますよね。
この記事では、4つの数字の意味と見方を整理して、用途別の目安を早見表にまとめました。出典のある数値と「当サイトの目安」は、列を分けて書いています。
対象は、大人がPCや書類を使う座り作業のデスクライトです。ブルーライトや睡眠への影響、子どもの学習机の照度は扱いません。
スペック表に並ぶ4つの数字を整理する
まずは、4つの数字が何を表しているのかを、ざっくり分けておきます。
| 記号 | 呼び方 | 表しているもの | 見るときのひとこと |
|---|---|---|---|
| lm | 光束(ルーメン) | 光源から出る光の量 | 机の上の明るさそのものではありません |
| lx | 照度(ルクス) | 照らされた面の明るさ | 測った高さや距離とセットで見ます |
| K | 色温度(ケルビン) | 光の色みの目安 | 低いと赤み、高いと青みを帯びます |
| Ra | 平均演色評価数 | 物の色の見え方 | 100に近いほど、基準の光に近い見え方です |
光束(lm)は光の総量で、照度(lx)は、その光が机の上に届いたときの明るさです。同じlmでも、光が広く散るほど、同じ面積あたりのlxは小さくなります。実際の照度は、光束、照らす面積、器具の効率などから決まります[1]。
照度(lx)の見方
事務所衛生基準規則の第10条では、作業面の照度が決められています。令和4年12月1日の施行から、一般的な事務作業は300ルクス以上、付随的な事務作業は150ルクス以上です[2]。同じ条文のなかで、照明は「明暗の対照が著しくなく、まぶしさを生じさせない方法」とされています[3]。
厚生労働省のパンフレットでも、机上の照度は300ルクス以上が目安とされています。あわせて、明暗の対照が著しくない室内照明にすること、ディスプレイと書類を交互に見るなら明るさが著しく異ならないようにすること、間接照明がグレア防止に効果的なことが書かれています[4]。自宅でテレワークをする場合の案内でも、机上は300ルクス以上とされています[5]。
より高い数値も見かけます。JIS Z 9110:2010の照度基準を抜粋した資料には、事務室750ルクス、キーボード操作・計算500ルクス、設計・製図750ルクスと載っています[6]。ただし、JIS Z 9110には2024年版があるとされ[7]、最新版の数値は確認できていません。
当サイトでは、300ルクスを「下回りたくない目安」、500ルクス前後以上を「余裕をもたせたいときの目安」と読んでいます。
もうひとつ大事なのが、距離です。デスクライトの「○○lx」は、真下の中心を決まった高さで測った値であることが多いです。たとえばBenQは、中心照度800ルクス(高さ45cm)と条件を書いています[8]。LEDスタンドのJIS区分でも、30cmと50cmの位置で机上面の照度が決められています[9]。
距離を2倍にすると、照度はおよそ4分の1になる、というのが点光源の近似です。デスクライトの光源には大きさがあるので、きっちり4分の1にはなりません。それでも、ライトを近づけるほど急に明るくなる感覚はつかめます。
色温度(K)の見方
色温度は、光の色みを表す目安です。低いほど赤みを帯びた光、高いほど青みを帯びた光になり、約3,000K以下はやや赤み、約7,000K以上はやや青みとされています。JISでは、光色が「電球色」「温白色」「白色」「昼白色」「昼光色」の5つに区分されています[10]。
代表的な製品の値は、昼光色が約6,500K、昼白色が約5,000K、白色が約4,000K、温白色が約3,500K、電球色が約2,700〜3,000Kです。数値は目安で、値を保証するものではないと、資料にも書かれています。
ここで知っておきたいのが「色順応」です。同じ光の部屋にしばらくいると、青みや黄みのある光でも、だんだん白く見えてきます。光色による心理的な効果も、いつも現れるとは限らないとされています。つまり、「何Kが正解」と言い切るのは難しいんですね。
公的なガイドラインなどで、作業ごとの色温度を何Kにすべきと決めた数値は、確認できませんでした。
演色性(Ra)の見方
Raは、基準の光で照らしたときと比べて、物の色がどれだけ忠実に見えるかを表す数値です。基準の光と同じ見え方なら100になります。注意したいのは、色が「好ましく」見えるかどうかを表す数値ではない、という点です。
目安として、Raが80以上なら色の見え方を実用的に満足させられると言われています[9]。JISでも、Raが80未満の光源は、仕事をしたり長く滞在したりする室内では使わないことが望ましいとされています。さらに色が大事な作業では、JIS Z 9112の「高演色形クラス2」があり、Ra90以上かつR15が85以上です[11]。
スペック表を見るときのコツは、3つあります。Raの差は、約5くらいから実用上の意味が出るとされています。色温度の違う光源どうしでRaを比べても、あまり意味はありません。そして、赤の再現を表すR9は、Raが同じでも大きく違うことがあります。資料の例では、Ra83の一般的なLEDでR9が2〜12だったのに対し、Ra95の高演色LEDではR9が90でした。
用途別の目安早見表
ここまでの内容を、用途別に1枚にまとめました。照度と演色性の列は出典のある数値、色温度の列は「当サイトの目安」です。
| 用途 | 照度の目安(机上) | 色温度の目安 ※当サイトの目安 | 演色性の目安 | ひとこと |
|---|---|---|---|---|
| PC作業が中心 | 300ルクス以上[4] JIS Z 9110:2010の資料ではキーボード操作・計算に500ルクス[6] | 4,000〜5,000K前後 | Ra80以上[10] | ディスプレイに映り込まないよう、光源は目の高さより低い位置に[9] |
| 書類・読書が中心 | 300ルクス以上[4] LEDスタンドのJIS区分は、30cmで300ルクス以上(A形)か500ルクス以上(AA形)[9] | 4,000〜5,000K前後 | Ra80以上 | 部屋の明かりと明るさがかけ離れないように |
| 製図・細かい手作業・色の確認 | JIS Z 9110:2010の資料では設計・製図に750ルクス[6] | 5,000K前後(昼白色) | Ra90以上(高演色形クラス2)[11] | R9など、赤の再現の数値も確認 |
| 夜に机まわりだけ点ける | 300ルクス以上は同じ。部屋を真っ暗にせず、明暗の差を小さく[4] | 3,500〜4,000K前後 | Ra80以上 | 色温度は好みが分かれます |
色温度は、公的な推奨値がないので、一般的な光色の区分をもとにした当サイトの目安です。好みや部屋の光との組み合わせで変わるので、幅をもたせて考えてください。
スペック表の読み方と、各社の数値を比べる
スペック表を読むときの落とし穴は、主に4つです。lxに測定条件(高さや距離)が書かれているか。lmとlxを混同していないか。色温度が固定か切り替え式か。Raだけでなく、R9などの数値があるか。実際の製品を3社並べて、見てみましょう。
| メーカー・モデル | 色温度 | 演色性 | 明るさの表記 | 出典の種類 |
|---|---|---|---|---|
| パナソニック LEDデスクスタンド SQ-LD440 | 切り替え式(パソコンくっきり光=5,000K、文字くっきり光=約6,200K) | Ra83 | JIS A形の区分。lxの実測値は載っていない | メーカー公式の製品ページ[9] |
| 山田照明 Z-LIGHT Z-S7000 | 3,000K・4,000K・5,000K・6,200Kの4段階 | Ra90 | 定格光束528lm。中心直下照度は1,140lxと1,255lxの2通りが同じページに載っていて、測定距離は確認できず | 販売店(ジョーシンweb)の掲載[12] |
| BenQ ScreenBar Halo | 2,700〜6,500K | Ra95超 | 中心照度800lux(高さ45cm)。500luxで照らせる範囲は63×40cm | メーカー公式の仕様ページ(英語)[8] |
山田照明は、メーカー公式ページから数値を取得できなかったので、販売店の掲載を載せています。数値は掲載時点のもので、現行モデルの仕様は各社の公式ページで確認してください。
並べてみると、同じ「lx」でも中身がばらばらです。パナソニックはJISの区分、BenQは高さ45cmでの中心照度、山田照明は条件が確認できません。ちなみに、山田照明の2010年の発表では、1,694lx(高さ40cm時)のように条件が添えられていました[13]。数字の大小だけで比べると、判断を誤りやすくなります。
ライトの光が天板やディスプレイに映り込んで、まぶしく感じることもあります。天板の素材ごとの特徴はスタンディングデスクの天板素材ガイドにまとめています。ライトを増やすときは、タップ全体の消費電力も確認したいところです。デスク周りの電源容量チェッカーが役に立ちます。
選ぶときのチェックリスト
買う前に、このチェックリストで確認してみてください。印刷やスクリーンショットでも使えます。
デスクライト選びチェックリスト
- ☐ 使う作業(PC、書類、手作業、色の確認)を決めた
- ☐ 机上で300ルクス以上になりそうか、測定条件つきのlxで確認した[4]
- ☐ lxの値に、測った高さや距離が書かれている
- ☐ 色温度が固定か切り替え式かを確認した(切り替え式は範囲も)
- ☐ Raが80以上。色を確認する作業ならRa90以上[10]
- ☐ 色が大事な作業なら、R9などの数値も確認した
- ☐ 光源を、目の高さより低い位置に置ける[9]
- ☐ ディスプレイや天板に、光が映り込まない置き場所がある
- ☐ 部屋の明かりと机上の明るさの差が、大きすぎない
- ☐ 取扱説明書で、取り付け方法と注意事項を確認できる
安全のために:取扱説明書・公式の案内が最優先です
- クランプ式は、取り付けられる天板の厚みに範囲があります。たとえば山田照明のZ-S7000は、クランプ対応厚が10〜50mmです[12]。
- 取り付け・設置・電源まわりは、必ず取扱説明書の手順と注意に従ってください。
- 体の不調や、目の痛み・ちらつきが続くときは、ライトの調整だけで済ませず、医療機関に相談してください。
デスクまわりの雰囲気づくりは、DECORのガイドからたどれます。
よくある質問
- Qデスクライトは、何ルクスあれば足りますか?
- A自宅でのテレワークの案内では、机上は300ルクス以上とされています[5]。
ただし、デスクライトのlxは、測った高さや距離で変わります。
条件が書かれた値で、机上に300ルクス以上届くかを確認してください。
- Q色温度は何Kが目にやさしいですか?
- A作業ごとの色温度について、公的な数値の根拠は確認できませんでした。
同じ光の部屋にしばらくいると、光色は白く見えてくる「色順応」もあります[10]。
好みや使う時間帯で選んで、切り替え式なら、いくつか試して決めるのも手です。
- QRaは高いほど良いのですか?
- ARaは、色の見え方の忠実さを表す数値で、色が好ましく見えるかを表すものではありません。
Raが80以上あれば実用上は十分とされ、差が5ほどなければ違いを気にしなくてよい、とされています[10]。
色を確かめる作業が多いなら、Ra90以上やR9の数値も見てください。
- Q部屋の明かりを消して、デスクライトだけで作業してもいいですか?
- Aガイドラインのパンフレットでは、明暗の対照が著しくない室内照明にすること、ディスプレイと書類の明るさが著しく異ならないようにすることが書かれています[4]。
部屋の明かりも点けて、机の上との明るさの差を小さくしておくのがおすすめです。
- Qディスプレイにライトが映り込みます。どうすればいいですか?
- Aデスクスタンドは、目の高さより低い位置に合わせると、まぶしくないと案内されています[9]。
間接照明はグレア防止に効果的ともされています[4]。
ライトの向きや置き場所を変えて、光が画面に当たらない位置を探してみてください。
参考資料
- パナソニック「明るさシミュレーション(平均照度の算出)」:https://www2.panasonic.biz/jp/lighting/led/sim/lux.html
- 厚生労働省 愛媛労働局「令和3年12月から職場における労働衛生基準が変わります」(事務所衛生基準規則の改正):https://jsite.mhlw.go.jp/ehime-roudoukyoku/roudoukyoku/gyoumu_naiyou/roudoukijun/anzen/202112eiseikijyunkaisei.html
- 厚生労働省「事務所衛生基準規則における照度基準」(照度基準の経緯と概況):https://www.mhlw.go.jp/content/11201000/000700624.pdf
- 厚生労働省パンフレット「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」:https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/000861747.pdf
- 厚生労働省の資料「自宅等でテレワークを行う際の作業環境の整備について」:https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/000999963.pdf
- 九州電力「照明・電気設備」資料(JIS Z 9110:2010 照明基準総則の照度基準の抜粋):https://www.kyuden.co.jp/var/rev0/0579/4254/26item.pdf
- パナソニック「照明設計サポート P.L.A.M. 照明設計の手順」(JIS Z 9110-2024への言及):https://www2.panasonic.biz/jp/lighting/plam/manual/calc/design-procedure/
- BenQ「ScreenBar Halo」仕様ページ(英語):https://academy.benq.com/content/b2c/en-us1/g6-lighting-bak/monitor-light-bar/screenbar-halo/spec.html
- パナソニック「LEDデスクスタンド SQ-LD440」製品ページ:https://panasonic.jp/light/products/SQ-LD440.html
- パナソニック「光源の光色と演色性」照明設計資料:https://www2.panasonic.biz/jp/lighting/plam/manual/basic/light-color-rendering/
- パナソニック「映光色」(JIS Z 9112 高演色形クラス2の記載):https://www2.panasonic.biz/jp/lighting/brand/eikoshoku/
- ジョーシンweb「山田照明 LEDデスクスタンド Z-S7000-B」商品ページ(販売店の掲載値):https://joshinweb.jp/kaden/44349/4968478104230.html
- Impress Watch「山田照明、色温度の調節機能などを追加した「Z-LIGHT」の新モデル」(2010年):https://kaden.watch.impress.co.jp/docs/news/366103.html

